テーマ:建築物の耐震設計と振動特性評価
講師: 田村和夫先生( 建築都市耐震研究所 )
日時:平成30年5月15日
概要:

千葉工業大学を3月で退職された田村先生に、民間企業時代から大学教授時代までの間で取り組まれてきたことをご紹介いただいた。

まず、耐震設計に対する考え方として、どのような地震動に対して構造物の応答をどうように評価するのかが重要であり、設計者・施主の理解・納得の下で設計建設が行われる。そのなかで解析は事象の理解のためには重要となる。

1980年代には超高層RC造集合住宅の開発に携わり、1985年のメキシコ地震や1995年の兵庫県南部地震では地震被害と入力地震動の関係の解明に携わる。最近では、床の面内剛性が高層建物の地震応答に及ぼす影響を解析的に検討した。一般に剛床仮定が用いられるが、どこまで床の剛性が必要なのかについて検討した。こうした研究により部分的に床材として木材を使う可能性がみえてきた。

一方で、解析が事象を正確に表現できているわけでもない。解析と実験・実測を組み合わせて事象を理解していくことが必要となる。しかし、全てを実験的に評価できるわけではない。実験と解析を組み合わせた班経験的な手法も重要となる。

最後にレーダー技術を用いた建築物の振動計測法を紹介いただいた。建物外部からレーダーを照射し、反射してきたレーダーを計測することで、面的に同時に振動計測が可能となる。

(文責:高山峯夫)