テーマ:1階柱脚の降伏を避ける新しい構法による鉄骨ラーメン骨組の設計・施工
講師:木村祥裕先生(東北大学教授)
日時:平成28年1月28日
概要:

従来の鉄骨柱脚の形式には、露出柱脚、埋め込み柱脚、根巻き柱脚がある。露出柱脚は1階柱が大断面になりがちでコストも高い。埋め込み型は複雑なディテールで工期も長くなりがち、さらに根巻き型は1階RC柱が大断面となりがちであった。

現行のラーメン骨組の設計では、梁先行降伏型であっても最下層柱脚の塑性化を許容している。2007年のE-ディフェンスの実験では、現行の設計規準を満たす4層鉄骨ラーメン骨組を兵庫県南部地震で加振したとき、最下層で層崩壊した。1階柱脚で塑性化した後には柱頭でも塑性化し、建物は倒壊にいたる可能性がある。

そこで、1階柱脚を降伏させない新しい柱脚機構を提案した。この新工法では、1階中間高さ以下をRC造とし、このRC造柱と上部の鉄骨柱をピン接合する。これによって、建物の安全性の向上、工期の短縮、コストの軽減をはかることができる。

この新工法の性能を検証するために載荷実験が行われ、その有用性が確認された。また、柱脚RC柱の設計法についても紹介された。現時点では、7棟の建物にこの新柱脚が使われていること、柱脚の構造設計・施工について実施例を紹介いただいた。

柱脚に塑性ヒンジを発生させないことで、建物の耐震性に余裕をもたせることが可能になる。

(文責:高山峯夫)

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