テーマ:地震による建物の揺れと被害の見える化による防災対策支援
講師:斉藤 大樹 先生(豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系 教授)
日時:平成29年2月23日

概要:地震が頻発する中、地震や津波に対して自分の住む街や建物が安全かどうか、誰もが不安を覚えている。そうした不安をなくして減災を実現するためには、専門家が正しい情報を社会に発信していく必要がある。コンピュータの能力が進歩した現在、地震により建築物が崩壊する様子をグラフィックスで本物らしく見せることは、それほど難しくはない。しかし、解析に用いる建築物のモデル化には未解明の部分が多く残されている。コンピュータの能力は日々進化しているが、耐震工学研究の歩みははるかに遅い。南海トラフ巨大地震の際に、多くの地域で震度7の揺れが想定されており、現行の耐震基準で建設された建物でも、ある程度の被害を免れない。学校や市庁舎のように地震時に地域の防災拠点として機能すべき公共建物については、想定される被害を予測し、事前に対策を講じる必要がある。また、実際に地震が起きた際には、いち早く建物の被害程度を分析し、建物が余震で安全かどうかを診断する必要がある。また、被害原因を詳細に分析し、その教訓を耐震設計に活かすことも重要である。いずれも信頼できる解析ツールが必要不可欠である。建物の地震時挙動シミュレーション・ソフトを独自に開発・公開し、迅速に建物の耐震性を評価できる環境構築を進めてきた。講演では、筆者が開発したソフトのうち、骨組解析、有限要素解析、個別要素解析を紹介していただいた