テーマ:鉄筋コンクリート二次壁の近年の地震被害の紹介と構造性能への影響について
講師: 眞田靖士(大阪大学・教授)
日時:令和2年12月3日
概要:

阪神・淡路大震災以降、耐震診断や耐震補強の社会的普及が功を奏している。近年の大規模な地震災害では、鉄筋コンクリート建物の構造被害は減少傾向にあり、十分に耐震設計されていない非構造材などの被害が中心になりつつある。本講演では鉄筋コンクリート集合住宅で見られる方立壁被害に焦点を当て、近年の地震災害における被害や、方立壁が建物全体の構造特性に与える影響、また、被害の軽減策などについて分析した結果を報告していただいた。

RC造の柱梁架構と一体となった二次壁(方立壁)の残存性能を評価するために実験により、小変形域において方立壁は大きな水平力を負担していたことが分かった。これは方立壁の水平変形とともに、高い圧縮力が作用したためである。しかし、変形角1%未満において方立壁はせん断破壊をし、その後は水平耐力、鉛直耐力を失った。

方立壁を考慮するかしないかによって、建物の地震応答結果が異なった。実際の建物の損傷分布は、方立壁を考慮する解析によって良好に評価できた。下層部の方立壁の破壊は、下層部の層剛性を低下させ変形が大きくなるため、建物全体の変形性能を低下させる。一体型の方立壁を有する建物の耐震性能評価には、方立壁も考慮する必要がある、と結んだ。

(文責:高山峯夫)