テーマ:非構造部材(天井、間仕切壁等)の耐震設計
講師:石原 直(東京工業大学 教授)
日時:令和4年12月27日
概要:

コロナ感染も落ち着いてきたこともあり、前回に続いて対面での研究会開催とした。ただ、開催日が年末となり、参加されたい方も参加できなかったようで申し訳なかった。

石原先生は、東工大を卒業された後、建築研究所に20年間ほど勤務され、2022年4月から東工大の教授に就任された。

講演のテーマは、建築研究所や国土技術政策総合研究所などで取り組まれてきた非構造部材の耐震設計に関することで、次のような内容であった。

  •  天井などの非構造部材の地震被害
  •  非構造部材の設計用地震力
  •  天井やALCの間仕切り壁などの実験的検討

まず、地震による天井の脱落被害は2001年の芸予地震、2003年の十勝沖地震などで発生し、2011年の東日本大震災では死者5名、負傷者72名以上となった。被害件数も約2000件が判明している。被害の要因についてはさまざまであるが、設計・施工上の問題があったものもあった。

日本建築学会の「非構造部材の耐震設計施工指針・同解説および耐震設計施工要領」(2003年)では非構造部材の設計用絶対加速度を水平震度として規定している。しかし、水平震度を規定しているのは静的なせん断力の釣り合いであり、地震時の慣性力を必ずしも表してはいない。そこで、非線形応答加速度の評価式を提案したことが紹介された。続いて特定天井に設計用地震力を床応答スペクトルから求める方法について解説いただいた。

特定天井では壁面と隙間を設けない仕様も認められているので、実際の天井を使った振動台実験の映像を紹介された。またALC間仕切り壁の脱落被害を受けて、壁面外方向の実験を行い、2段積みの中間梁付近で面外方向の増幅が大きくなることを確認した。中間梁の剛性や取り付け方法を工夫することで脱落を抑制することができると説明された。

(文責:高山峯夫)