テーマ:2024年能登半島地震・2023年トルコ・シリア地震など近年の活断層帯地震の大振幅地震動と耐震対策
講師:久田 嘉章 (工学院大学 教授)
日時:令和6年5月10日

概要:
久田先生には、2016年熊本地震が起きた後にも地震動について講演をしてもらっている。今回は2024年能登半島地震をうけて大振幅地震動とその対策について講演をしていただいた。

大振幅地震動としては、指向性パルスとフリングステップ(長周期パルス)がある。大振幅地震動が観測された熊本地震、トルコ・シリア地震、能登半島地震での観測波形、および被害調査の結果を紹介してもらった。

最初に大震幅地震動が発生するメカニズムについて紹介があり、実際にシミュレーションで再現できることが説明された。観測された地震動を再現するには、アスペリティ(SMGA)を適切に設定し、さらに浅い地層も考慮したり、いくつもの断層の動きを取り入れることなどが必要となる。地震が発生する前に、こうした情報を得ることは不可能に近いので、その対策が重要となる。

大振幅地震動の発生が危惧される地域では、L2地震動(超過確率50年で10%)に加えて、L3地震動(超過確率が50年で2%)を設計に取り入れることが必要ではないか。地震断層が想定される地域には建物の建てないという規制をしているところもあるが、実際に断層の近くでも大きな被害を受けていない建物はある。

トルコ・シリア地震では震源域近くにある免震病院の被害が少なかった。ただし、エキスパンションジョイントや設備配管に設計・施工上の課題は見られた。能登半島地震では七尾市に免震病院と消防署があり、いずれも無被害だった。ただ、建物周辺地盤の沈下が起きて、建物の出入り口に段差が生じていた。免震エキスパンションジョイントの設計ではこうした点への配慮も必要となる。

断層すべりによる建物被害の事例からは様々な対策が可能といえ、対策事例も増えつつある。建物の設計にあたって大振幅地震動をどこまで考慮するのかは難しい判断が求められる。しかし、設計地震動を適切に考慮し、安全な建物を設計する努力が欠かせないと感じた。

(文責:高山峯夫)